その7 〜 ピアノ協奏曲

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2階のデッキから、林の間を通してわずかに見える、ほんの数十メートル先にこのグランドがある。
普段ほとんど使われていないのだが、手入れは非常に行き届いている。
あまりにも身近で素晴らしい土地なので、ついここも自分の土地のような気がしてきてしまう(笑)。




設計者は最初にこの地を訪れたとき、この風景を眺めながら思い描いたイメージを1枚のCDに託して私にプレゼンとしてくれた。
そのCDは「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23」、演奏はニューヨーク・フィルハーモニックのものであった。
ホルンの力強い旋律で始まり、ヴァイオリンが表情豊かに歌い出す第一楽章を聴いていると、あたかもここが雄大なロシアの大地のような錯覚に陥ってしまう。
それ以来、私たちはこの別荘を「チャイコフハウス」と呼んでいるのである。

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